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2016-11-13

【アニメ】『この世界の片隅に』

今日は大学のレポートのことは一旦忘れて(笑)、映画を見てきました。
クラウドファンディングで支援した作品です。
エンドロールに支援者の名前が表示されたんだけど、映画のスクリーンで自分の名前を見るのはなんだか不思議な気分でした。

映画『この世界の片隅に』予告編

シネマトゥデイ

ファンミーティングや、その後のインタビュー記事などでも監督ご自身が語られていましたが、この作品では当時の情景が極めて忠実に再現されています。
場面によっては、当時その場所に住んでいた人たちすら描かれているほどです。
呉の港に戦艦大和が入港してくるシーンがありましたけど、監督はその正確な日時まで調査したとか。
この作品では主人公の「すずさん」(北條すず)の生活が日記風に綴られていきますが、おそらくその日の呉の天候まで調査されていると思われます。
すずさんはもちろん架空の人物なんですが、彼女を取り巻く環境はほぼ史実通りで、ドキュメンタリーに近い趣さえ感じます。

昨年のファンミーティングの時に見たデモ映像は音声なしでしたが、音にもかなりこだわったのでしょう。
街を行きかう人の声や、汽車、空襲警報、焼夷弾の落ちる音・・・・・・。
自分は戦後生まれなのでもちろん当時の音なんて知らないわけですが、それでも、あれはかなり実際の音に近かったのだろうなと思います。

自分は小さいころ、木造の長屋に住んでいました。
さすがにかまどはなかったけど、現代の生活よりもすずさんたちの生活にずっと近かったんです。
金盥で行水したりしてね(笑)
だから、すずさんが玄関の引き戸を開けるときの音を聞いて、妙な懐かしさを感じました。

それから、におい。
小学生の頃、学校の近くに放置された防空壕が残っていて、「探検」したことがあります。
(ちなみに、酸欠の危険があるので本当は立ち入り禁止の場所だった)
壕の中の湿った感じや土のにおい。
映像を見ていてそんなものが蘇りました。
確かに、あの頃の人たちと私たちの時代はつながっているんです。

すずさん自身はフィクションの存在ですが、どこか懐かしく、自分には身近な人のように感じられました。
しかし、だからこそ後半の展開は相当につらい。
これからこの作品を見に行く人、特に戦争体験者が身近にいる人や、実際に体験された方は覚悟した方がいいかもしれません。
自分は、父親にこの作品を見せられない。

自分の父は東京大空襲の生存者です。
妹と一緒にグラマン(F6Fヘルキャット。米海軍艦載機)に追い掛け回されたこともあるらしい。
工場に勤めていた頃は、正午を知らせるサイレンで反射的に体がすくむと言っていました。
空襲警報に似ているから。
やはり70数年経た今でもトラウマが残っているのか、『火垂るの墓』ですら「二度と見たくない」と言うくらいです。
『この世界の片隅に』のラストは『火垂るの墓』よりは希望がありますけど・・・・・・。

戦争は当事者が亡くなると忘れ去られ、「なぜ」と問うこともなくなり、当時の人たちの思いや築き上げられたものもすべて意味を失うという悲観的な意見もあります。
(参考:一ノ瀬俊也 『戦艦武蔵』 中公新書 2016年)
しかし、今回の『この世界の片隅に』のようなインパクトのある作品を、現代でも創ることができました。
少なくとも、多くの人が何かを考えるきっかけにはなったんじゃないかと思います。

自分たちは戦後生まれといっても、戦争の影響を大きく受けて生きています。
それは平成生まれや21世紀生れの子供たちだってきっとそうです。
自分自身、東京大空襲の夜に一人の少女が瓦礫の下で焼け死ぬことによって、この世界の片隅に生まれることが確定した存在です。
「なぜ戦争が起こったか」を戦争体験者自身の視点で問うことはできなくても、「自分がなぜこの世界に生まれてきたのか」を問うことはできるし、これからも問うていくことが必要だと思っています。
そのようにして、間接的にではあっても、すずさんたちが生きた時代とつながることができるのだろうと思うんです。

そして忘れてならないのは、現在進行形で世界のどこかにすずさんたちのような人たちが今もなお存在していること。
そこを意識しているのといないのとでは、今後数十年の日本の将来が大きく変わってくるのではないかと感じています。
戦争体験者の父親には見せられないけれど、戦後世代の人たち、特に平成以降の生まれの人たちにはお勧めしたい作品です。

最後に、声優さんのこと。
(うちのブログは若手の女性声優さんのお誕生日記事に特化していたりするのでね)

すずを演じたのはのんさん
能年玲奈さんですね。「あまちゃん」の。
最初のトレーラー(予告編)を見た段階では不安がありましたが、まったく問題ありませんでした。
見事にすずさんのイメージにはまってました。

のんさんって、経緯はよくわからないけど仕事を干されているらしいじゃないですか。
(芸能スキャンダルみたいなのってまったく興味ないからよくわからんのですよ)
最初は、「なんでわざわざそんな人を・・・・・・」なんて思ったんです。
しかし、監督の判断は正しかった。
改めて片渕監督の感性に敬意を表します。
のんさんはそれほど器用な人ではないようだし、声優に挑戦するのも今回限りなのかもしれませんが、次回の声優アワードの主演女優賞に推薦したいくらいです。

それにしても、あれだけの才能をこのまま埋もれさせるのはあまりに惜しい。
もしかしたら舞台に向いているかも。
今は干され気味みたいだけど、地上波TVのなんだかわからないバラエティなんかに出なくて済むなら、むしろ本人のためには良かったのかもしれません。

それと、すずさんの夫役の細谷佳正さん
前にも何回か書いてるけど、自分は声優さんの声を思い出しながら本を読むことができるという特殊技能(笑)があるんですよ。
原作の漫画を読んでいるときに、すずの夫(北條周作)の声は、まさに細谷さんの声で脳内再生されていたんです。
なので、当然ながら違和感ゼロでした(笑)

うちのブログは若手の女性声優さんに特化しているので、中堅以上の人や男性声優さんのことはあまり書きませんが、細谷佳正さんは最も好きな男性声優さんのひとりなんです。

方言は難しかったかもしれませんが、そのほかの人たちも雰囲気が出ていて良かったと思います。
自分は関東人なのでよくわからないですが、広島市と呉市では方言が微妙に違うようですね。

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