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2010-04-21

【読書】女装と日本人

最近はなんだか調子が悪くてブログの更新も滞りがちですけど、なんとか生きてます。ブログを更新しない代わりに本を読んでいたりして。

この前、他のカテゴリで「一般職男子」の記事を書きました。今はちょうど社会政策という科目を勉強している途中なんですが、「男性差別問題」というのに興味がわいてきました。卒業論文のネタにも十分なり得る問題です。日本の労働環境というのがいかに硬直しているか、こういう問題によく現れていると思うんですよね。

こういう問題を考えると、どうしてもジェンダー論なども視野に入れないといけないわけですが、そもそも「男らしさ」とはなんだろうかというようなことも考える必要が出てきます。今回はそういう流れの中でこんな本を読みました。

三橋順子著 『女装と日本人』 講談社現代新書 2008年

前半の方は女装の歴史的な背景に関する記述が充実しています。そういえば、ヤマトタケルって女性に化けてクマソの王を討ち取ったんでしたっけね。『火の鳥 ヤマト編』(手塚治虫著)でこの話が出てきたっけなあ。日本人の女装の歴史は相当長いわけです。なにしろ神話の時代からですから。

おいらが住んでる茨城県鹿嶋市には鹿島神宮があります。(伝説では神話の時代に創建されたという)毎年3月には「祭頭祭」という祭りがありまして、祭りの参加者(囃人)は派手に着飾ります。男の子が化粧をしたりします。最近は少子化で参加者が少なくなったせいか、女の子も参加するみたいですけど。女装とはちょっと違うような気もしますが、祭りの時に男の子が化粧をするような風習というのは、鹿島神宮に限らず他の地域の祭りでもかなり昔からあるようです。本の中では「双性性」という用語が出てきますが、男でも女でもないものに神性を認めるというようなことがあったのかもしれません。

近代以前の日本では女装がそれほど珍しいものではなかったようですが、明治以降は状況が大きく変わりました。近代社会を構築するにあたって、知識と一緒に西洋的な価値観も導入した結果、それまでの日本では問題にならなかったようなことが犯罪になってしまうんです。(実は今でも同じようなことが起きていますけどね。先月書いた東京都のエロ漫画規制の話とか) 通説では日本の産業革命は明治維新(1868AD)以後とされているようですが、「男らしさ」「女らしさ」という考え方が形成されていったのはどうやらこのあたりからなのでしょう。「富国強兵」「殖産興業」のような国策の中で、あるいは日清・日露戦争のような対外戦争の中から、男は「男らしく」あらねばならないという価値観が作られていったのだろうと思われます。そして、女性の恰好をした男性は「変態」ということになりました。ナチス・ドイツではガス室送り。

日本は第二次世界大戦に敗れて民主国家に生まれ変わりましたが、戦後は経済による世界進出を目指す中で「男らしさ」「女らしさ」という価値観がそのまま維持されました。高度成長の社会では男女の役割分担がはっきりしていた方が生産効率がいいですからね。ところが、経済が発展して国民の生活が豊かになると価値観が多様化するわけですよ。例えば、女性でも「総合職」に挑戦したい人が出てくるわけです。その一方で「一般職」を希望する男性も出てきます。みんなが同じようなライフスタイルを希望する時代ではなくなった以上、こういった問題を避けて通ることはできません。しかし、日本の社会、とくに企業はいまだにそういう状況に十分適応できていないのが現実です。

読んだ本の内容とは全然違うことを書いているようですが、実は深いところでいろんな問題が結び付いているように思うんですね。近代以前、日本には現代とは違う価値観がありました。封建社会に生きた人たちには近代人がもっているような「自由」はありませんでしたが、そこには現代よりも多様で豊かな文化があったようです。多様性というよりはカオスと言った方がいいような気もしますが、もしかするとそれが本来の日本社会の姿なのかもしれません。「一般職男子」現象というのも、本来の日本社会の姿に戻ろうとする動きの一つなのかもしれないと思うわけです。かつて「女装」に対して許容度の高かった日本社会は、現代でも「一般職男子」を受け入れる文化的な余裕をもっている可能性があるのではないかと思います。

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