【大学】労働基本権(憲法)
これもわりと教場試験で出されやすいテーマのようです。
一般に公務員は争議行為をしてはならないという決まりになっています。罰則もある。しかし、「全農林警職法事件」のような、学説から批判される有名な判決があるのでよく出題されるんですね。ちなみにこの判決では、公務員の労働基本権に対する制約は合憲であるという判断でした。
さて、公務員の労働基本権を制約する場合の根拠には次のようなものがあります。
1.「地位の特殊性と職務の公共性」論
公務員は公共の利益のために働いており、争議行為は公務の支障となり、国民全体の共同利益に重大な影響を及ぼすという説です。「国民全体の共同利益」という概念が抽象的で無内容という批判があります。
2.「財政民主主義」論
公務員の勤務条件は国民の代表である国会で制定されるのであって、政府に対して争議を起こすのは筋違いである。また、民主的に行われる公務員の勤務条件の決定に対して異議を唱えることは議会制民主主義を脅かすという説。これに対して、法が求める公務員の勤務条件の決定というのはあくまで大枠でのことであって、議会制民主主義の下でも公務員の団体交渉を制度化することは可能であるという批判があります。
3.「市場抑制欠如」論
民間企業の場合、労働者の過大な要求は企業そのものの存立を危うくし、労働者の失業を招く。また、労働争議によって製品・役務の提供が滞れば、やはり企業・労働者双方に不利益があるので、民間での争議行動には市場の抑制が自然に働く。しかしながら、公務員にはそのような抑制が働かないので法による規制もやむを得ないという説。これに対しては「争議行動権の理解が不足している」というような批判があるようです。
4.「代償措置」論
公務員の労働基本権を制約する場合には代償措置をとらなければなりません。人事院の設置などもそういう措置のひとつです。しかし、その代償措置があまりにも形式的に過ぎるという批判があるようです。代償措置を設けさえすれば労働基本権を制約できるという考え方になっているという。その措置が十分であればまだいいんですが、不十分であるという批判もあがっています。
確かに公務員というのは公共の利益のために働くとされていますが、その「公共のために働く」というのはどういうことなんでしょうかね。一般の民間企業は営利団体であるといっても、その活動は絶え間なく社会に還元されています。およそ人間の組織する団体で、公共の利益に影響を与えないものはないような気がします。大きな企業になればなるほど公共性は高くなる。最近はCSRについてもよく取り上げられるようになりましたね。
また、大企業は社会に対する影響力の大きさから、その活動は国家の活動と同列にみなすような動きもあります。「ステート・アクションの法理」なんていうのがそう。本来は国家の権力から国民の権利を守るために制定された憲法を、大企業や、国家に準じる権力を有する団体から国民の権利を守るために適用できないかというところから発展してきた考え方です。
ともかく、現代では公共のために働いているのは何も公務員ばかりではないわけです。公共性の強弱はあろうかと思いますが。そう考えると、公務員に対してのみ労働基本権を制約するのはフェアじゃないような気もするんですね。まぁ、おいらみたいな考え方をする人というのは少数派なんでしょうけど、職種がなんであれ労働者に対して労働基本権を制約するのは違憲のような気がします。
| 固定リンク
「慶應義塾」カテゴリの記事
- 【大学】2009年第2回科目試験(2009.07.05)
- 【アニメ・政治社会】大正野球娘。(2009.07.03)
- 【大学】レポート返却(2009.06.26)
- 06月21日のココロ日記(BlogPet)(2009.06.21)
- 【歴史】日本の戦争(2009.06.14)
「政治・社会」カテゴリの記事
- 【アニメ・政治社会】大正野球娘。(2009.07.03)
- 【TB】ざわわ・・・(2009.06.24)
- 【フシギジュツ】からくり(2009.06.21)
- 06月21日のココロ日記(BlogPet)(2009.06.21)
- 【歴史】日本の戦争(2009.06.14)



コメント
判例への批判を探していました。
参考になりました。
投稿: | 2009年2月 6日 (金曜日) 10時23分