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2008-07-27

【読書】蟹工船・党生活者

この間、大学のレポートに使えそうな本を書庫で漁っていたら見つけました。確か高校生の時に読んだのだと思います。この本、最近売れてるみたいですね。

『蟹工船・党生活者』 
小林多喜二著 新潮文庫 昭和60年(六十八刷)

去年、勤めていた会社で「労働争議」が起きました。全然人が足りなくてね、給料は上がらないのに夜勤ばかりが増えていきました。1ヶ月の半分くらいが宿直だった。「通し」という、24時間勤務です。そんな状況に我慢ができなくなった人が、会社に対して交渉を持ちかけたんですね。その時、総務部長がその人を評してこういいました。

「共産党」

「共産党」というのは、21世紀の現代でも何か恐ろしく不気味なものの代名詞なんですね。会社に逆らって問題を起こす人は全て「共産党」(笑) 田舎では特にそうです。まったく時代遅れとしかいいようがありませんが。そういう自分も子供の頃はそういう感覚でした。共産党にはなにかとても胡散臭くて危険なイメージがありました。

子供の頃はいじめられっ子だったし、他の地域から流れ込んできたよそ者だったこともあって孤立していました。最近わかったことですが、どうやら発達障害もあったのだろうと思われます。自分から友達を作ることも非常に難しかった。最近は若者による凶悪な犯罪が増えていて、その根底には漠然とした不安や孤独があるのではないかといわれています。人を殺すということについてはまったく理解できませんが、孤独でどうにもならないという部分についてはなんとなく想像できます。

小学生くらいの時はいくら学校をサボってもたいしたことにはならないんですが、高校生になるとそうは行きません。出席日数が足りないと退学になっちゃう。ある程度の日数は行かざるを得ない。当時は大検なんて知らなかったし。自分は周りの人が何を考えているのかよくわからない子供だったのでとてもつらかった。なんだかわけのわからない集団の中でストレスを溜めていった自分は、

「みんな、ぶっ壊れてしまえ」

という暗い感情を抱えるに至ったのでした。

そこで共産主義ですよ。
危険思想の代名詞。今考えると本当に頭の悪い子供だと思います(笑)

この本を手に取った背景には、そういう気持ちがあったんです。読んでいるうちにすっかり毒気を抜かれてしまいましたけどね。この本に描かれていた現実は、自分の想像を遥かに超えていました。荒れ狂うオホーツク海で奴隷のように働かされる労働者。夢に出てきてうなされました。

「・・・彼奴等は、俺たちを殺せば自分たちの方で損するんだ。目的は―本当の目的は、俺たちをウンと働かせて、締木にかけて、ギイギイ絞り上げて、しこたま儲けることなんだ。そいつを今俺たちは毎日やられてるんだ。―どうだ、この滅茶苦茶は。まるで蚕に食われている桑の葉のように、俺達の身体が殺されているんだ」
『蟹工船』 92頁より引用。

当時はよくわからない漠然とした恐怖を覚えた作品でしたが、あらためて読んでみると現在の日本の状況と妙に重なり合って、恐怖というよりは怒りを覚えます。この作品が書かれたのは昭和4年(1929年)ですよ。79年も昔の話なんです。ところが、そんな昔の作品に自分の置かれた状況を重ね、共感を覚えるという若者たちが多いと聞きます。

この国の80年間は、一体何だったんでしょうか。

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